キャンサーリボンズ HOME > 新着情報 > 日野原重明先生とキャンサーリボンズの、「いのちの大切さ」についての思い出

新着情報

日野原重明先生とキャンサーリボンズの、「いのちの大切さ」についての思い出

2017.08.08

日野原重明先生は、キャンサーリボンズ設立(2008年)に際し、NPOの特別顧問としてご就任くださり、ご多忙の中、設立記念イベントにも駆けつけてくださいました。日野原先生からのご生前に賜りましたご恩にあらためて感謝し、思い出のひとつをご紹介します。

 

キャンサーリボンズでは、がん患者さんとご家族が生きる意味を考え、生きる希望や勇気につながるよう、各分野で活躍中の方々の温かなメッセージを収録した朗読CD「あなたには、明日、生きる意味がある」を2012年にリリースしました。がんや治療に関する心の持ち方にとどまらず、人間の生きる意味を真摯に捉えることで、朗読を聴いた方ひとりひとりが生きる意味を深く、前向きに考えられる内容になっています。

CDには、日野原重明先生の文章も収められています。

CD制作にあたり、子ども達が‘いのち'について考える大切な時間「いのちの授業」についてのメッセージをお寄せいただけないかとお願いしたところ、NHKのドキュメンタリー番組の企画であるにも関わらず、ご快諾くださいました。

 

CDに収められている日野原先生のメッセージと、リリース当時に日野原先生からお寄せいただいたお便りをご紹介します。

 

■CDに収録されたメッセージ

 

私は、1987年に初めて「いのちの授業」を小学校で行いました。これは、NHKのドキュメンタリー番組の企画によるもので、「からだの中のポンプ・心臓」と題した授業でした。

私の母校、神戸市立諏訪山小学校の五年生を対象とした授業で、聴診器と血圧計をいくつも持って行き、子どもたちに渡して、聴診器で自分や友だちの心臓の音を聞かせ、血圧を測るときに上腕の血管音を聞かせました。子どもたちはみんな、眼を輝かせて私の話に聴きいり、心臓の音や、身体のなかを流れる血流の音に驚きの声をあげていました。

 

その授業で私がいつも子どもたちに問いかけていることは、「いのちって何だと思う?」ということです。

「君たちは、自分のいのちを持っていますか?」と問いかけると、子どもたちは「持っている」と答える。「どこに持っているの?」と聞くと、「身体全体」とか「心臓」とかいろいろな返事が返ってくる。しかし、「じゃあ、心臓がいのちなのかなあ?」と聞くと、子どもたちは「違う」というのです。心臓が止まれば人間は死んでしまう。それは確かだけれど、だからといって、では、心臓がいのちなのかというと、それだけではない、と子どもたちは感じているのです。

「風は見ることができますか?空気は見えるかな?見えないね。でも、確かにそこにあって、人間が生きていくのに欠かせないものですね。いのちも、眼で見ることはできないけれど、確かに存在するものです。見えないもののなかに、とても大切なものがあるんだよ」。私は子どもたちにそう語りかけます。そして、いのちとは、寿命とは、「私たちが使える時間」のことなんだよ、と教えるのです。

自分が持っている時間、自分が使える時間がいのちそのものであって、その時間をどう使うかが私たち一人ひとりに与えられた課題です。与えられたいのち(時間)をどう生き、どのように返すか、それを真剣に考えるのが人間の大切な仕事なのです、と。

私は、それを子どもたちに伝えることこそ、私に残された時間に果たすべき一つの大切な使命と感じています。

 

 

■朗読CDリリースに際し、お寄せいただいたお便り

1週間ほど前に、日本ハンドベル連盟の理事長をしている関係で、イギリスで開催されたハンドベル世界大会に参加してきました。ビートルズ発祥の地に行ったり、ちょうど時期が重なったオリンピックの開会式を見に行くことができました。オリンピック開会式では、シェークスピアの「テンペスト」や「ピーターパン」の朗読が印象的で素晴らしかったですね。改めて、音楽や朗読の力はすごいなあと思いました。

この朗読CD「あなたには、明日、生きる意味がある」には、私とも親交が深い方の作品が収録されています。堀文子さんとはご一緒に仕事をやらせてもらっているし、絵門ゆうこさんは、聖路加国際病院のチャペルで朗読会をやってもらいました。がん患者さんに向けた、このような朗読CDは初めてですし、素晴らしい活動だと思い、協力させてもらいました。

 

日本では、「ターミナルケア」は「終末期医療」という意味で捉えられることが多く、患者さんにとっては、聞くのが辛い言葉になっています。ターミナルという言葉は、本当は空港のように、到着ゲートもあるし、出発ゲートもあるというのが本当の意味です。海外では最近、ターミナルケアに代わって、「サポーティブケア」という言葉を使うようになってきています。がんになっても、ならなくても、皆が助け合い、一緒に生きていこうということです。このCDも、サポーティブケアにつながる活動ですね。

(2012年8月6日・聖路加国際病院にて)

 

朗読CDの発起人 NPO副理事長 岡山慶子さん・朗読家で軽井沢朗読館館長 青木裕子さん

が日野原先生を訪ねた際の様子

 

 

 

朗読CD「あなたには、明日、生きる意味がある」には、日野原先生の他、日野原先生と親交の深い画家 堀文子さん、絵門ゆうこさんの夫 三門健一郎さん等、様々な分野でご活躍の皆さまのメッセージが、朗読家 青木裕子さん(軽井沢朗読館 館長)による朗読で収録されています。

 

ご購入希望の場合は、支え合いグッズページから注文用紙をダウンロードしてFAXにてお申込みください。